弛緩性便秘の注意すべきポイントについて

ふつうの便秘は、大腸のぜんどう運動が
弱くて、便がなかなか先へ進まないために
起こる便秘です。

このようなタイプの便秘は弛緩性便秘と
呼ばれています。

この弛緩性便秘は、女性に多く、10代の
思春期の頃から始まる人も多いのが
特徴です。

弛緩性便秘は運動不足も一因ですが、
偏った食事やダイエットのために、
食物繊維が不足して、腸のぜん動運動が
弱くなっていることが主な原因です。

そこで、弛緩性便秘の人が心掛けるべき
ポイントを挙げておきます。

起床後に水分を摂る

便秘の人は、朝起きて直ぐにコップ一杯の
水を飲むことです。

コップ一杯の水を飲むことで、腸の
センサーにスイッチが入り、自律神経が
リセットされ、副交感神経にスイッチが
入って、神経伝達物質のセロトニンが
分泌されて腸のぜんどう運動が活発に
なります。

便が硬い人や便秘がちな人は、一日の
水分摂取量が不足していることが
あります。

ですから、出来るだけ水分を多めに
摂るようにすれば、軟らかい便が
スムーズに出るようになる場合が
あります。

朝の水分は、お茶でも牛乳でも
よいのですが、牛乳で下痢をする人は
冷たい牛乳は避けることです。

ただし、ストレス性便秘の人は
朝の水は逆効果になります。

もともと下痢気味の人が、起きぬけに
冷たい水を飲むと、さらに悪化する
恐れがあります。

朝食は必ず摂る

腸にはセンサーが備わっていて、口から
胃へ食べ物が入ると、神経伝達物質の
セロトニンを分泌して収縮や
ぜんどう運動を始めます。

朝ご飯を食べることで、この腸の
センサーにスイッチが入ります。

朝食を食べなければ、腸は眠っている
ような状態で、セロトニンを分泌する
リズムも狂ってしまいます。

朝は腸のぜんどう運動が最も高まり、
便意が起きやすい時間でもあるため、
朝食は一日の食事の中で最も重要な
食事といえます。

毎日朝食を摂ることは、生活習慣病の
予防にも重要ですが、腸のぜんどう運動を
強めて、便意を促し便秘を予防する
ためにも大切なのです。

また、食事の量が少なければ、便のかさが
増えないために、まとまった便には
ならないわけです。

正常なぜんどう運動を促すためには、
スナック菓子のようなものばかり
食べないで、食物繊維が豊富な食事を
摂って便のかさを増やす必要があります。

便意があったら我慢しない

便意があっても我慢を何度も繰り返して
いると、いつの間にか便意がなくなって、
トイレに行っても出なくなって
しまいます。

ですから、便意は我慢しないことです。

直腸まで便が下りてくると、センサーが
機能して便意を感じますが、しばらく
我慢すると便意は遠のいてしまいます。

すでに、便は直腸まで下りてきているので
便意を感じたときに出せば、それで済んで
しまうのです。

しかし、我慢することで、直腸で便が
硬くなって、ますます出にくくなって
しまうことがあります。

便意を我慢したために、排便のサイクルが
狂って、便秘になってしまう人もいます。

トイレでの注意点

まず、便意もないのにトイレに行くのは
よくありません。

外出前や出勤前にトイレに行くのは
よいのですが、トイレに入って3分ほどで
便が出ない時はトイレを出ることです。

長い時間座って、いきみ続けるのは
やってはいけません。

また、トイレでの読書もかんばしく
ありません。

便意がないのにトイレに行って
いきんだり、長い時間座っていると、
痔を誘発することにもつながります。

さらに、女性の場合は、いきみ過ぎると、
スーパー便秘の原因となる直腸瘤になる
こともあります。

直腸が次第に肛門のほうに、たるむ
ようになり、肛門から直腸が出てきて
しまう直腸脱になることもあります。

この直腸脱は70~80歳代の高齢の
女性に多いですが、30代、40代の
女性や男性にも起こります。

便秘を引き起こす極端なダイエット

女性であれば、引き締まったスリムな
ボディになりたいという願望があると
思います。

しかし、ただ細くなればいいとばかりに
間違ったダイエットや無理なダイエットに
走ってしまうと、自分自身の健康を損ねて
しまうことも少なくありません。

ダイエットによって引き起こされる便秘も
そのひとつです。

ダイエットが及ぼす弊害

一日三食をきちんと摂らず、さらに
一回の食事量も減らしてしまえば、当然
便の量も減ります。

食べなければ、便も出ません。

便秘が続くうちに、腸内には悪玉菌が
増加して、さらに腸内環境ばかりでなく
便秘も悪化してしまいます。

腸内で発生した有害な物質が体中に
運ばれていくと、頭痛や肌荒れが
起こるようになります。

有害物質のなかには、大腸がんを
発生させる危険因子となるものも
あります。

また、必要な栄養素を摂らずに、ただ
食べる量を減らすだけのダイエットでは
必要な筋肉まで減らしてしまいます。

ぜんどう運動をするための腸の筋力や
便を送り出すための腹圧が弱くなり、
ますます排便が困難になって
しまうのです。

その結果、腸内は悪玉菌の温床と
なります。

このように、食事の量を減らす極端な
ダイエットは便も出なくなり、腸内の
悪玉菌が一気に優勢になってしまいます。

また、食事から摂るはずの水分も
減るために、腸にたまった便から
水分を吸収するので、便は腸内で
乾燥して、ますます便秘を悪化させて
しまうのです。

ところで、便が最も詰まりやすい部分は
S状結腸のあたりです。

S状結腸は、おへその左側のやや下に
あります。

痩せ過ぎて、腸の筋力が落ちてしまうと、
S状結腸のあたりに溜まった便を
押し出す力もなくなってしまいます。

腸にも脂肪や筋肉がついています。

腸の内壁はアコーディオンのじゃばらの
ようになっています。

じゃばらのくぼみにあたる部分の
外壁に筋肉や脂肪がついています。

過度なダイエットをすると、この腸の
外壁についている筋肉や脂肪まで
落ちてしまいます。

そうすると、腸のじゃばらが伸びて
しまい、腸全体が長くなります。

腸が長くなった分、便を送り出す
時間がさらにかかるようになります。

その間にも、水分を吸収された便は
硬さを増して、ますます排便が
困難になってしまうのです。

また、内蔵を支えている腹直筋が衰えると
胃の位置が下がって胃下垂になります。

下がった胃は、腸にも影響を及ぼします。

胃に押されて、横行結腸が垂れ下がる
ようになり、S状結腸も下がり、腸下垂が
起きるのです。

これによって腸内のカーブが増え、便が
通過しにくくなります。

市販の便秘薬や漢方薬を使ったダイエットの危険性

ダイエットが原因で便が出なくなると、
自分の判断で、下剤を使って便秘を
解消しようとする人がいます。

なかには、少しでも体重を減らそうとして
下剤を利用する人さえいます。

市販の便秘薬の多くは、腸管を刺激する
ことで便を排出させます。

こうした便秘薬に頼っていると、そのうち
腸管が刺激に慣れてしまって、薬を
飲んでも便意を感じなくなります。

効かなくなってくると、便秘薬を飲む
回数が増えて、毎日常用するようになり、
量も増えていきます。

このように、便秘薬に頼る排便を
繰り返していると、腸が本来持っている
機能は低下し、ぜんどう運動が弱まり
自分の力で排便できなくなって
しまうのです。

便秘薬を常用していると、カリウムなどの
必要な栄養素が排泄されてしまいます。

血液中のカリウムが不足すると、筋力が
低下して、腸のぜんどう運動や腹圧が
弱くなってしまうのです。

確かに、大黄、センナ、アロエなどの
漢方薬やハーブには便通を促す効果は
あります。

しかし、漢方薬やハーブだからといって
長期的に飲み続けるのは避けなければ
なりません。

自然のものでも、腸を刺激することでは
便秘薬と同じです。

かえって、けいれん性便秘の原因を
作ってしまうこともあります。

また、これらの植物の葉には、
アンソラシンという物質が含まれていて
腸の粘膜に黒い色素を沈着させてしまい
大腸黒皮症を起こさせます。

間違ったダイエットについて

ダイエットをする人の多くが陥りやすい
間違ったダイエットに関して、これだけは
避けたい例を挙げおきます。

1、水分をあまり摂らない

水太りするからといって、水分を控える
人がいますが、むくむことはあっても
太ることはありません。

間違った思い込みで水分を控えていると、
便秘がひどくなります。

減量している時は、食品では摂取する
水分も少なくなっています。

水分不足の体は、腸にある便から水分を
吸収するため、水分をとられた便は
硬くなり、腸からスムーズに送り出せなく
なるのです。

朝一杯の水に始まり、一日を通して
意識的に水分を摂ることが必要です。

2、偏食ダイエットをする

ダイエットといっても、カロリーが
少ないからと同じ食品ばかり
食べていたり、あるいは食事の量を
ただ減らすだけの自己流ダイエットが
少なくありません。

口にする食品が偏れば、当然、
栄養バランスも偏ります。

食品から摂り込まれた栄養素は、体内で
影響しあうことで有効に働きます。

例えば、腸の粘膜を強くするビタミンAは
β-カロテンを含む人参などから体内に
吸収されます。

そのとき、吸収率を良くするために
必要なのが脂肪分です。

脂肪分の取り過ぎは、腸内の悪玉菌を
増加させてしまいますが、少量の
脂肪分は体の機能を保つために
欠かせない栄養素のひとつなのです。

このように、間違ったダイエットは
栄養不足を招くだけでなく、骨も
弱くしてしまいます。

毎日、栄養バランスをよく考えて
食事をすることです。

3、野菜はサラダや生野菜中心の料理だけを食べる

生野菜によく使われるレタスなどの
葉物野菜、トマト、キュウリといった
ものには便秘を防ぐのに有効な
食物繊維があまり含まれていません。

食物繊維が多く摂れるのは、海藻類、
根菜類、キノコ類などです。

生野菜のサラダはよく食べるけれども、
海藻・根菜・キノコ類は余り食べないと
いう人は、食物繊維が不足している
可能性があります。

勿論、葉物野菜やトマトなどにも
他の栄養素がたくさん含まれているので
しっかり摂りたい食品ですが、
これだけでは便秘予防にはならないので
注意が必要です。

生野菜に、キノコや海藻をバターや
油などで炒めたものをトッピングする
など工夫することです。

4、食事量を減らすだけで運動しない

無理なダイエットをしていると、筋肉が
落ちていきます。

そのうえ、ほとんど運動をしない生活を
送っていると、筋力は更に落ちて
いきます。

筋力が落ちると、腸の運動や便を
送り出すための腹圧も弱まり、
便が出にくくなります。

必要な筋肉まで落としてしまうような
ダイエットは避けて、同時に、適度な
運動をして筋力を保つことが大切です。

5、体重を減らすために便秘薬を使う

体重を減らすため、或いはお腹を
へこませるために、便秘薬を使って
体内に入った飲食物を早く出そうと
する人がいます。

これは、自分で腸の機能を衰えさせている
ようなものです。

ダイエットのために便秘薬を使うのは
やめることです。